画家のまなざし

「身体について学ぶなら、まずは美術解剖学の本を1冊持ちなさい。」

と、昔ある先生が言いました。

それは、画家のまなざしを持って「美」という観点から、身体の構造なり、機能なりを考えていきなさいということだったのではないかと思います。


その当時に入手できた訳ではないのですが、Valerie L. Winslowさんの著書「Classic Human Anatomy-The Artist's Guide to Form, Function and Movement」に描かれていることは、ナチュラリゼーションを学ぶ方にとても参考になると思うので、レッスンの際などに見ていただくこともよくあります。

Valerieさんの本は、邦訳版では2冊出版されていて、こちらの図は「モーションを描くための美術解剖学」というタイトルの本に収録されています。

画家は、「軸」という意味では中指への繋がりを考えながらも、人差し指への流れを見ています。それが、アームスを描く際の「美のライン」なのかもしれません。

バレエのアームスには「前腕の回外」という動きが含まれますが、ナチュラリゼーションにもその回外のワークがあり、その際感じていくのは人差し指(示指)なのですね。

「中指って習ったけれど。」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、人差し指を感じていくのには理由があるのです。

前腕の回外の際に動く「橈骨」(青で示しています)という骨の様子を見てみましょう。
橈骨の延長線上に人差し指があるのではないでしょうか?

人差し指を感じていくのは、この橈骨が尺骨の周りを綺麗に回っていくため。そして、下の図の赤丸で囲った「腕橈関節」という肘の関節がスムーズに動いていくためなのです。

そして、ぜひ実際にこの動きを「感じる指を変えて」試してみてください。
感覚はどう変わるでしょうか?


肘の関節が硬くなっていると、腕橈関節の動きはあまり感じられないかもしれませんが、ナチュラリゼーションを続けていくと、その小さな動きがとてもクリアに感じられるようになります。